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JEE(日本環境国際交流会)の機関誌に、高島千晶が2004年3月号から1年間連載した文章です。
【目次】
(その1)連載を始めるにあたって(2004年3月)
(その2)生きている豆を売る(2004年4月)
(その3)使われるもの、押入れ行きのもの(2004年5月)
(その4)金は天下のまわりもの(2004年6月)
(その5)誕生日会みたい!――パブリックな6畳間(2004年7月)
(その6)パブリックな6畳間(つづき)(2004年8月)
(その7)パブリックな6畳間・能力主義からはなれて(2004年9月)
(その8)ペットボトルと紙コップのない風景(2004年10月)
(その9)地球1個分のライフスタイル(2004年11月)
(その1)連載を始めるにあたって(2004年3月)
「夫婦二人で手押し車を押して日本を縦断する」―JE.Eの総会で60才の金澤さんが嬉々として語られたとき、何か自分と同じような変わり者にであったようで、心が弾んだ。金澤さんは四国遍路のご経験から、歩くということの中に深い喜びを見出されたとのこと。はじめて人類が車にのったときの喜びに匹敵するであろう目のかがやきで、車を使わない旅のすばらしさを語る金澤さんを見て、こうでなくちゃ!と私は思う。
いつも買っていたスコーンをはじめて自分で焼いてみた時の驚き、テレビを茶の間からなくした時の静かさ、畳の上にただ正座することの気持ちよさ、お肉や固形ブイヨンを使わないで作る豆スープのおいしさ、これらの根源的な喜びを私たちは文明開化と同じような気概を持って語らなければならない。そしてこそ、戦争と浪費の100年・・・20世紀を乗り越える新しい文化が生まれてくるはず。
何をすることが 本当に楽しいことなのか
何をしているときに 胸に希望があり それが静かな力となるか
――山尾三省
「大工」より
♪♪♪
楽天堂くいものむつかり・3月 菜の花丼♪♪♪
たまご丼に親子丼、小さい時の好物でした。今はこれが一番好き。
【材料】(4人分)
菜の花 1−2束、金時豆(ゆでて) 1カップ、ごま油 大さじ1、酒・しょうゆ・かつお節 各適量
【作り方】
@金時豆は一晩水につけ、柔らかくなるまで煮る。
Aごま油で金時豆を炒め、菜の花も混ぜ入れてさらにいため、酒としょうゆとかつお節をふってからめ、温かいご飯にたっぷりのせていただく。
♪豆の水煮を冷蔵庫や冷凍庫で保存すると便利。炒め物、煮物に混ぜて使います。
(その2)生きている豆を売る(2004年4月)
去年の夏、ごみ減量推進会議が主催した環境まんがのワークショップに参加した娘は、以来、ごみがたくさんでるとため息をつく。大好きなカステラを食べていた時も、「ああ、また。」とトレーやビニール袋を眺めていた。
「どうしたらいいのかな」――娘よ、それは簡単なこと。家でつくればいいんだよ。
翌日、小麦粉にコーンミール、たまご、はちみつ、バター、そんな買い置きのものでカステラを作った。「おいしい、おいしい。」下の子どもも夫も大喜び。
うちは豆屋で10種類以上の豆を軒下に並べているが、すべて乾燥した豆である。よく料理の本に「缶詰の豆の水煮を使えば、便利」とか「ビニールに入った豆の水煮をつかおう」と書かれているが、実際の所ゆでる手間なんてたいしてかからない。皮をむく必要も切る必要もない。ただ一晩漬けておきさえすれば、30分ちょっとでほとんどの新豆は煮える。まとめゆでして、冷蔵庫や冷凍庫で保存することだって出来るのだ。
工場で既にゆでてある豆はかさも重さも3倍近くになっていて、ビニールや缶が余計にいる。加工、保存の途中で石油エネルギーだって余分に使う。もちろんかなり割高。
何より畑から穫れたままの乾燥豆は、土に埋めれば芽吹く。春、豆を畑に埋め、秋になってさやから豆を取り出す時、あなたが見つけるのは半年前に土に埋めたのと同じ色形の豆。種も仕掛けもないんだけど、生命の半年がかりのマジックを見せられるような不可思議な気持ちがする。
そんな生きている豆を私は売りたい。生きている豆から料理したい。
できるだけ加工された食品でなく素材から料理することで、生命の律動を感じる。その楽しさを手放さなければ、ごみだって増えないはず。
♪♪♪楽天堂くいものむつかり・4月 かんたんカステラ♪♪♪
別名コーンミールショートブレッド。豆料理クラブ会員の石倉夕子さんから教えてもらいました。
【材料】
小麦粉 70-80g、コーンミール 70-80g、卵(M-Lサイズ) 2個、プレーンヨーグルト 大さじ2−3(又は豆乳ヨーグルトか牛乳か豆乳。牛乳、豆乳の場合は大さじ5−7で具合をみて)、はちみつ 大さじ5−6、植物油または溶かしバター 50g、ベーキングパウダー 小さじ2
【作り方】
@植物油とはちみつをよく混ぜ少しもったりするくらいになったら卵を入れさらにかきまぜる。泡立てる感じでしっかり混ぜる。
Aヨーグルトをよくかくはんして@に混ぜる。
B小麦粉、コーンミール、ベーキングパウダーを全部混ぜてAとさっくり混ぜ合わせる。
C油を塗ったパウンド型に流し180-200℃で20分くらい焼く(こげそうなら上にアルミホイルを載せて)。
(その3)使われるもの、押入れ行きのもの(2004年5月)
春休みの一日、J.E.E.の主催する子どものためのワークショップで、買い物袋に絵を描いた。8歳の娘は一人でお花の絵やうさぎの絵などを描き、その横で私は、3歳の息子と共同で息子の好きなものを次々に描いた。茶団子や緑色の汽車や水たまりなどである。おせじにも上手と言えない絵入りバッグ二つは、翌日より押入の中にしまわれる暇なく始終つかわれている。
台所で始終つかわれているのは、桜の木でできた木べらだ。
ちょっと前までは、いつ買ったのかもらったのかわからないプラスチックと金属でつくられた道具で、フライパンの中の玉ねぎをかき回していた。どうも使いにくい。しかも、色形が違うのが台所にはたくさんあって、どれもこれも使いにくいのである。
本腰を入れて豆料理をするようになってからは玉ねぎを炒めるプロセスが増えて、その使いにくさに日々閉口していた。ある時、くらしや木左右衛門なる道具屋で、丈夫そうな木べらに出会った。これだと思った。買って帰って実際使ってみるとその勝手の良さは圧倒的。一本で十分なのだと思い知った。
体を動かさずに商品を見ていると、どれも良さそうだし、それぞれに意匠がちがって素敵。これがあったらいいだろうとか、あれがあったら楽しいだろうとか、想像はいくらでもふくらみ、物欲は際限なくなる。でも、体を動かしてほんとうにしっくりする気持ちよさを味わったら、欲しいものはただ一つということになるようだ。
こどもたちの方は、きなりの布に絵を描いた気持ちよさが嬉しくて、バッグが手放せなくなったんだろうと思う。
余談だが、私は今年、町内の子供会の世話係になったので、地蔵盆に子どものための企画をすることになっている。そこで、買い物袋のワークショップをやれないかなあと考えているところです。例年、ちょっとしたゲームをやって、プラスチックのおもちゃをたくさんもらって帰ってくることになっているが、そんなおもちゃは残念ながら押入の奥にしまわれるということになりがちだ。
♪♪♪楽天堂くいものむつかり・5月 初夏のムング豆スープ♪♪♪
緑豆春雨に、緑豆もやし。みなさんご存知の緑豆、別の名がムング豆です。一晩水につけなくてもすぐに柔らかくなるので便利。このスープは炒めるプロセスがほとんどなくて、材料を鍋に入れるだけの簡単なものです。圧力鍋なら5分!
【材料】
ムング豆 150g、にんじん 中1本半、アスパラガス 2束、トマト 完熟大1個、カレー粉(ガラムマサラ) 大さじ1,クミン 小さじ1、バター 30g、黒砂糖 小さじ1+1/2、塩 小さじ 1+1/2、水 3+1/2カップ
【作り方】
@ムング豆は水洗いして1時間くらい水につけておく。
Aにんじんは1センチ角に切り、アスパラガスは1センチくらいに切っておく(根っこに近い固い部分は使わない)。トマトはざくぎりにしておく。
B鍋にバターを溶かしてクミンを入れてクミンの周りに泡が立ち始めたら火をいったん止め、カレー粉を余熱で炒める。
CBに@、Aの材料および水、調味料を加え、30〜40分煮こんで出来上がり。
♪水3+1/2カップには豆をつけておいた水も混ぜてください。昆布だしや干ししいたけのもどし汁をつかってもいいし、ひよこ豆の煮汁などとってあったら、ぜひそれを使いましょう。
(その4)金は天下のまわりもの(2004年6月)
お客さんが物を買うだけでなく軒先に座って話をして帰る。こどもが上がってあそぶのでお母さんもいっしょにお茶を飲む。また、うちの子をお客さんが子守してくれる。お野菜を売りに来たお百姓さんが、うちで洋服を買ってくれる。パンを届けに来たパン屋さんが、お豆を買って豆スープをランチメニューに加えてくれる。大工さんに家をなおしてもらい、わたしたちは大工さんの奥さんの釜めしやさんで食事をする。釜めしやさんではうちの豆をつかった釜めしが出てくる。
それらの一部始終を見ていた東京からの客人が言った。
「代官山に自然食レストランを出しても有機的な人のつながりはできないけど、この町だったら、歯車がうまく噛み合って暮らしていけるね。」
「金は天下のまわりもの」と昔から言うけれど、それをその通り感じさせるのは、地域の力なんだろう。わたしが誰かの暮らしを支えるようにお金を使い、またわたしもお金を介して支えてもらう。お金がない不安を、なんとかなるさという安心が凌駕する。この安心はスーパーで買い物するほかない町では感じられないことかもしれない。
本当に生きた関係の中でお金が生きる喜びをしっかり感じられるなら、空しいお金の使い方はしないですむ。100円ショップで山ほど安い物を買うことで気晴らしをしている人に必要なのは、禁欲でなく、本当の満足なんだと思う。
♪♪♪楽天堂くいものむつかり・6月 びっくりいんげん♪♪♪
さやいんげんの季節が始まりました。厚揚げと炊いてもおいしいし、ゆがいてサラダにしてもおいしい。みそ味にしてご飯の上にのせ中華丼風というのもおいしい!
【材料】
植物油 大さじ1、とうもろこし 2カップ強、しょうが 親指の先ほど(みじん切り)、さやいんげん 4〜5カップ、酒 半カップ、白みそ 大さじ2
【作り方】
@さやいんげんは湯がいて2センチほどに切る。
Aフライパンでとうもろこし、しょうが、@のさやいんげんを炒める。よく火が通ったら酒を加え、半量ほどになるまで煮つめる。
B最後にみそを混ぜ入れる。
(その5)誕生日会みたい!――パブリックな6畳間(2004年7月)
リデュース100年計画は、浪費をあおる商業主義からいかに解放されて人生を楽しみうるかという課題抜きには語れない。
座敷机にちゃぶ台、それに子ども部屋用のこたつ、まちまちの色をした机を三つ並べた座敷に入った若い客人は、はじめてうちにきたにもかかわらず「なつかしい!」と言う。「小さい時の誕生日会みたい!」だと。
我が家で月ごとに開く「豆ランチパーティー」も回を重ねて10回である。予約制だが誰でも参加できる。会費は実費。ふぞろいの机、数の足りない座布団、料理とちぐはぐなお皿、もちよりの食事、こちらで用意するメインの豆料理さえ時間どおりにできたためしはなく、参加者がパンや野菜を切ったり、子守をしてくれたり、あるいはお鍋の様子を見たり。
最初は申し訳ない気分でいたものの、参加者が家庭的な雰囲気を喜んでくれるたびに、これはこれで良いのかと思えてきた。そして、一番最近のパーティーは若い会員が料理を担当したので、私自身、手伝い一緒に作る楽しさを味わうことになった。
このところ、メールなどの匿名的な手段で誹謗中傷が個人に寄せられるというできごとが度々マスコミで取り上げられた。イラク人質事件はその最たるもの。プライベートな会話以外には匿名的な袋だたきくらいしかコミュニケーションモデルがないとしたら、21世紀はなんて貧しい時代だろう。
100年計画では、匿名的でなく人が集える場が大事だと思う。6畳間で十分。いや6畳間で集えるくらいの人数が一番話しやすいのかもしれない。匿名の個人がどんなに多く集まっても建設的なムーブメントは生まれないと思うけれど、パブリックな6畳間からは何だって生まれうるのだ。この項、次につづく。
♪♪♪楽天堂くいものむつかり・7月 ひじきサラダ♪♪♪
上関原発建設に反対している山口の友人が祝島のひじきを送ってくれた。水もどししただけで柔らかく、サラダにはうってつけ。原発の補助金にたよらずとも地域が活性化するように、祝島のおばちゃんたちが、海産物、農産物を出荷している。
【材料】
ひじき 30g、オリーブオイル 1/2カップ、上質の酢 1/4カップ、薄口しょうゆ 大さじ2、紫玉ねぎ 1/2個、ゆで卵 1個
【作り方】
@ひじきを水もどしし、(固い場合はゆでて)水切りしておく。
A@のひじきをまずオリーブ油で和え、次に酢としょうゆを加え混ぜ合わす。
Bスライスした玉ねぎをふじきの上にのせ、粗みじん切りしたゆで卵をトッピングして出来上がり。
(その6)パブリックな6畳間(つづき)(2004年8月)
パブリックな6畳間からは何だって生まれうる、というのが前回の最後の一文だった。正直言って、それを書いた時には予感と希望の入り交じった思いだったけれど、今や、それは確信に変わっている。
7月の17日から19日まで、我が家に7人の来客があった。普段、子ども部屋に使っている部屋に、わたしたち家族4人が寝、普段寝室につかっている6畳間に女性の客人2人、下の座敷6畳と縁側に男性の客人4人、そして狭い事務所にも男の人1人に寝てもらった。暑い最中のこと、ずいぶんと不自由な思いをさせてしまったのだけど、人が集まれば話は尽きず、修学旅行で小学生が興奮するように、わたしは興奮していた。
一人をのぞいて初対面の客人たちは、東京を中心にエコ雑貨倶楽部というのを結成していて、それぞれが、ねんどの化粧品、アレッポの石鹸、農薬を使わずに栽培できるヘンプや竹の繊維を使った製品などを製造、販売している。今回は京都の自給ネットワークの夏祭りに出店するために京都に来ていた。
2泊3日、寝食ともにし(豆料理三昧でした)、夜中まで話をすることで伝わってきたものは、イベント会場でそれらの商品を見、カタログでその効能について読むことを、はるかにしのいでいた。それぞれの仕事への愛情、起業するストーリーには胸おどるものがあり、京都の友人知人たちにも、彼らの多彩な人生を紹介したいと思った。
こんなふうに勇気ある人がいるんだ、こんな風に人生を楽しむことも可能なんだ、と思えば、どんなに力づけられることか(いずれ豆ランチパーティーにゲストでお招きしよう。)
わたしが知りたかったのは、具体例なんだと思う。現実を生きている男たち、女たち。彼ら彼女らが実際に作っている関係性。それらに触れインスパイアーされることが、楽しいのだ。(この項さらにつづく)
♪♪♪楽天堂くいものむつかり・8月 クイック豆サラダ♪♪♪
豆料理は時間がかると思われがちだけど、赤レンズ豆なら、ものの5分でサラダになります。冷や奴のように自然と手がのびる夏向けメニュウ。よおく冷やして召し上がれ。
【材料】
赤レンズ豆 1カップ、きゅうり 1本、トマト 1個、赤玉ねぎ 1/4個、オリーブオイル 半カップ、ワインビネガー 半カップ、塩こしょう 適量
【作り方】
@赤レンズ豆をやや固めにゆでる。5分くらい。水気を切って、冷水をかけ冷ます。
Aオリーブオイル、ワインビネガー、塩こしょうでドレッシングを作り、@を漬ける。
B野菜を粗みじん切りし、Aに混ぜる。
※お好みで、にんにく、マッシュルーム、ハーブを加える。ワインビネガーはりんご酢や米酢にしたり、一部をレモン汁にかえても美味。
(その7)パブリックな6畳間・能力主義からはなれて(2004年9月)
おおぜい人が集まっても、忙しく情報交換し、知識の量を競うような空気になってしまったら、パブリックな六畳間は失敗。少なくともわたしは、そんな空気にすぐ、くたぴれてしまう。
能力主義がすべて悪いとは思わない。学校で、職場で、地域社会で、それぞれに別種の能力主義があって、それぞれの場所で能力のある人が歓迎されるのだけど、楽天堂の六畳間くらいは、能力のない人を歓迎したい。いや、能力のある人だって、時には自分にがっかりすることがあるはずだけど、そんなときに行く場所がないとしたら、寂しい。それぞれの能力主義的環境でいきづまり、がっかりしている時にこそ、来てもらって楽しい場所を作ることが、わたしの仕事だと思っている。
毎月、うちの店ではテーマを決めて豆ランチパーティーを開いている。そのテーマに詳しいゲストを招いて1時間話をしてもらってから皆で食事をする。テーマはたとえば、化学物質過敏症だったり、自然農だったり、アジアの台所たったりとまちまちだけど、そのテーマについて一番知識の少ない人を大事にするように心がけている。そうすると、素朴な疑問が出てくるし、その素朴な疑問によってゲストから本質的な話を引き出すことが多々ある。テーマについて詳しい人とそうでない人の出会いがあって、場が活性化するのだろう。逆に門外漢がしゃべれないような空気ができてしまったら、技葉末節の情報交換に終始してつまらないパーティーになりがち。知織のない人、情報のない人、能力がない(と自分で思いこんでいる)人を大事にすること。それがパブリックな六畳間をパブリックたらしめるこコツではないかと思う。
♪♪♪楽天堂くいものむつかり・9月 スカンジナビア風豆スープ♪♪♪
これはうちの子どもたちに大人気。ぜいたくをしたい時はクリームを落とします。フィンランドでは婚礼の時に出されるスープなのだそう。
【材料】(4人分)
イエロースプリットピー 1カップ強、水 5カップ弱、じやがいも 1個、にんじん 1本、セロリ 1〜2茎、玉ねぎ 1個、マスタード粉 小さじ1強、オールスパイス 少々、クミン粉 小さじ1/2、タイム 小さじ1/2、塩 小さじ1,こしょう たっぷり、お好みで生クリーム
【作り方】
@スプリットピーを洗い、大鍋で水とともに煮る。
A野菜を粗く刻み、@がふっとうしてきたら入れる。弱火で1時間半煮る。
Bフードプロセッサーでピューレ状にし、スパイスと塩・胡椒で味つけし、再び弱火で温める。
C生クリームを使うならホイップして、器によそったスープに落とす。
(その8)ペットボトルと紙コップのない風景(2004年10月)
地蔵盆にJEEの細木さんから布用クレヨンをお借りして、町内の子どもたちにマイバッグを作ってもらったのは大歓迎された企画だった。地蔵盆恒例の景品もそのバッグに入れて渡すことができ、さっそく過剰包装を免れたし、手作りの楽しみを経験した子どもたちも、またそのできあがった絵を見て子どもひとりひとりの個性に触れた大人たちも、華やぐような笑顔を見せていた。
細木さんからお借りしたのはクレヨンだけでない。大きなやかんもお借りして、麦茶をわかした。この10年くらい、お茶はペットボトルのものを買ってくることが習慣化していたようだけど、やっぱり、家でわかしたお茶はおいししいようで、「このお茶おいしい!」という子どもが少なくなかった。(もしかしたら家庭でもペットボトルの麦茶が定着しているのかも。若いお母さんから、麦茶のわかし方をたずねられたりした)。
コップは例年の地蔵盆のように紙コップを使おうかと思っていたが、細木さんが以前東京で催し物をしたとき、わざわざ京都からリュックにコップをたくさん入れて持って行かれた事を聞いて、家から目と鼻の先のお地蔵さんの所までなら、運べばいいんだと気がつく。
軽い紙コップよりも安定のよいガラスのコップの方が、それは子どもたちにとっても使いやすい。何にせよ、間に合わせのもので子ども達をもてなさずにすむのは、気が晴れ晴れした。ささやかなことだけど、よくないお手軽な見本をわぎわざ大人が見せることもあるまい。
さて、そのように地蔵盆がとどこおりなく終わり、最後の片付けの時、荷物を段ボールに詰め直しながら、わたしは見つけた、町名が書かれた大きなやかんとたくさんの湯飲み茶碗。なんだ、町内会にもあったのか。細木さんから借りることもなかったんだ。一時は買おうかとさえ思っていたのに。でも、そりゃそうだなあ。昔はペットボトルも紙コップもなかったんだから、当然、町内会は持ってるんだなあ。そんな私の思いとは関係なく、会長さく会長さんは困惑してやかんや湯飲みを見ていたけど、思い直して段ポールに詰め直された。
今年はわたしは子供会の役員で、子どもにだけお茶を沸かしてふるまったが、今度、組長で地蔵盆の役が回ってきたら、大人の人(ほとんどがご老人)にも、おいしいお茶を入れてしんぜましょう。久しぶりに懐かしいお湯飲みも出してきたら、お地蔵さんも和むでしょう。
♪♪♪楽天堂くいものむつかり・10月 ドライフルーツ入り煮豆♪♪♪
われら日本人の得意な豆料理は煮豆。その最大の難点は山ほど砂糖を使うこと。お砂糖を使わずして、煮豆を作るには?乾物どうしの組み合わせでいきましょう。おいしいんだから!
【材料】
乾燥豆(白いんげん、金時、うずら、紫花豆など)、ドライフルーツ(プルーン、レ−ズン、アフリコツト、くこの実など)、塩 ひとつまみ
【作り方】
@豆をたっぶりの水に一晩つけ、厚手の鍋でやわらかくなるまで煮る。
A火を止めて刻んだドライフルーツをたっぷり入れ、塩ひとつまみも入れ、そのままゆっくり冷ます。冷蔵庫で保存。
※煮汁が多ければ、ドライフルーツを入れる前に減らす。でも、全部は捨てないで。煮汁に刻んだドライフルーツが溶けて、どろっとなりおいしいのです。甘みが足りなければ、ドライフルーツといっしょにはちみつも入れてみて下さい。
(その9)地球1個分のライフスタイル(2004年11月)
JEEに招いていただいた2月には、わたしたちの豆料理普及計面は、わたしたち家族4人を養うことができるかどうかさえ分からないような状態だった。豆料理の普及を仕事にしようと思いついたときから2年が経っていた。途中何度も経済的に挫折しそうになりながら、何とか続けていた。
「石の上にも3年」という言葉をこんなに実感したことはない。この秋になって急に毎日豆料理クラブへの入会者があるようになった。また、豆料理キットの卸を始めたところ、取引したいと言ってくれるショップが次々に現れ、世界的な自然保護団体からも通販部門で扱えないか検討したいとの連格が入った。理念に共感してくださったとのこと。こんなメールだった。
「私が豆に注目しているのは、もちろんおいしくて身体にもいい、大好きだから、ですが、ずっと『オリジナルカロリー』(肉1kgを得るのに穀物8kg)の説を問題だな、と思っていて、仕事柄何か提案できないものかしらと模索していました。
そんな中、千晶さんの『豆料理がもたらす平穏』のメールが届き、『お豆の料理を普及すれば、肉の消費は減る。家畜のえさとしての敷物の消費も減る。まずもって、それがすばらしい。たまにお肉という贅沢も楽しいけれど、毎日お肉を世界中の人が食べることはできない。中国の肉食傾向がアメリカ並みに進めば、東南アジアの森林は破壊されると言われています。それほど食糧危機も森林破壊も深刻。みんながお肉を日常的に食べるようには、この地球はできていない。その点、お豆はみんなが食べることができる』
この部分を読んで、まったくそのとおり!!と諸手を挙げて賛同してしまいました。今の私たちのような暮らしを全世界の人がすると、地球が3個いる、といわれています。」
このように仕事の理念に共感して下さる方に出会えて、とても励まされた。また、カナダに行った友人は、カナダでも豆科理クラブのレシピが好評なので、英訳、仏訳をしていると電話してきた。
豆科理は世界中の庶民の日常から出てきた料理だ。誰の専売特許でもない。地球一個分のライフスタイルを探している世界中の人々の台所から台所へと伝わっていくことを願うばかりである。会員の中から、豆科理教室を始める人も出てきた。豆科理試食会を開いてくれるショップも現れている。3年でこんなに手応えがあるのだ。100年あれば、ハモスが牛丼以上にポピュラーになってもおかしくない。
♪♪♪楽天堂くいものむつかり・11月 レンズ豆スープ レモンの皮入り♪♪♪
お鍋一つでできるお料理。野菜を刻んで入れるだけ。簡単。でも、お豆と野菜から甘みがでて信じられないくらいおいしいスープになります。国産レモンがなければ、ゆずやかぽすでもいいはず。塩は自然塩を使って下さい。しっかりと塩味をきかせる方がおいしい。
【材料】
レンズ豆 1カップ半、水 8カップ、玉ねぎ 大1個(さいの目切り)、にんにく 2片(極薄切り)、エノキダケ 1パック(ざく切り)、にんじん 半分(いちょう切り)、ローリエの葉 1枚、クミン 小さじ1、コリアンダー 小さじ2,レモンの皮 半個分(みじん切り)、塩 適量、好みでパセリやあさつき
【作り方】
@レンズ豆と水、ローリエを火にかける。野菜を切って加え、クミンとコリアンダーを足したら、材料が柔らかくなるまで弱火で煮込む。
A最後にレモンの皮を混ぜて塩加減をみ、器に盛りつけてから、パセリかあさつきを散らす。