第42号2008/06/20


豆ランチパーティー (春) 四月 
メーリングリスト100年計画〉より 会員の報告



おいしいはしあわせ─生命の営みを生かす無肥料栽培 (4/27) 郡 佳代(こおり かよ)

 埼玉の自然食品店サン・スマイルの松浦智紀(まつうら・とものり)さんを招いた4月27日の豆ランチパーティ、私は2度目の参加でしたが、千晶さん以外の方はみなさん初めてお会いする方ばかりでした。きりりと溌剌とした松浦さんがまっすぐ目を見て話されていたのが印象的でした。

松浦 智紀さん

 私は一消費者としてお店に並んだ食料品を購入しています。買うときに気をつけていることはそんなにはありません。特売野菜を見ると衝動買いします。でも我が千葉県は首都圏では最大規模の農業県ということもあり、店先にも地元のいろいろな野菜が並んでいますので「千産千消」と知事は言ってますが、私も実行しています。

 駅まで毎朝歩く道沿いに畑があります。先日そこの畑が土だけのフラットな状態で草一つ生えていませんでした。ちょっと前には同じ場所で取れすぎた白菜が山積みになり腐っていました。両方とも別に珍しくもない風景だと受け止めていましたが、草一つ生えてない畑で作られた野菜や、枯れずに腐っていく野菜って…?とお話を伺って、目から鱗が落ちました。そんなことも知らないのが恥ずかしくも思いました。

 F1種の話も全く知りませんでした。野菜も今や畑という名の工場で作られているのだと感じました。ブロイラーで一生を過ごすという鶏しかり、人間もそうなりつつあるような気もするし、高度に社会が発展するとこういう事になっていくのかしら?世知辛いを通り越して恐ろしい気がします。ひとりひとりしっかりして自分の足で立ち、ものを見て考えて、行動していかないといけないのを感じました。

 今回の豆ランチパーティでは農家の中村さんご一家と水田さんがいらしていて、生産者の方と席を同じくさせていただくのも初めての体験でした。顔が見えるってとても大事だと思いました。継続するという事をおっしゃっていたように思いますが、自然を相手にその事をされていることに頭が下がります。

 松浦さんが「おいしいはしあわせ」の話をされていました。食に関する問題はいろいろあります。知らなくてもいいこともあると松浦さんはおっしゃっていました。知っていても知らなくても、毎日おいしいと感じられるものを口にできるってありがたい。そういう生活ができる事って何でもないことだけどすごいことのように思えてきます。

 楽天堂さんで初めて豆料理キットを買って「アメリカンネイティブチャウダー」や「ホピ族のチリビーンズ」を作って食べた感激は今でも忘れていません。いつもセットに付けていただいているレシピを見ながらご飯を作りますが、楽天堂さんのレシピはシンプルだけど滋味深くてとってもおいしい。それだけでしあわせですよね。本当に。それをいろんな人と分かち合うことができれば幸せはもっと広がるように思います。松浦さんの「おいしいはしあわせ」をこのように受け止めています。

 お昼はハレトケのなつきさんのランチでした。ご飯も炊き合わせのお野菜と高野豆腐、フキノトウのお味噌汁、お野菜の和え物、季節感溢れていて、とてもおいしかったです。ごちそうさまでした。

 豆ランチパーティからもう1週間が過ぎてしまいましたが、今まで食べ物を何の気なしに食べていたことに気付かされています。何となく口寂しいからと何かをつまんだり、野菜を何となく買って使いそびれてしまったり・・・そうそう、いのちを頂いているというお話がありました。当たり前のことなのにスーパーで並べられた野菜をカゴに入れ、パック詰めの肉を買ったりしているとそういうことも忘れてしまう。もっと食べ物も、それを作ってくださっている方のことも頭でっかちじゃないところで感じられるようになりたいです。

 食べ物を大切にすることは自分の体も大切にするし、家族の体も大切にするし、台所もきれいにするし、家もきれいにするし、いろいろなことを慈しみ大切にすることに繋がっていく。それがうまくいくときやそうでないときもある。でもそれを繰り返しながら諦めないで続けていく。一足飛びに変化するのではなく、続けることから少しずつ変わっていく。そしたらいろんなところから少しずつ笑顔が増えていくような気がします♪


松浦さんのしてくれた「種」の話  高島 千晶(たかしま ちあき)

 松浦さんの話してくださった「種」の話のアウトラインを書きます。松浦さん、まちがっていたら、訂正してくださいね。

 自然の持つ力を生かす無肥料栽培において大事なのは、まず、種です。「固定種」はその土地に適応し、その土地にふさわしいように育ち、やがて実りをもたらしてくれます。固定種というのは、原種で、人間が操作しない昔からある種です。今は市販されている種のほとんどは「F1品種」という種類の、人間が操作した一代限りの種です。

 たとえば、固定種からできるかぶは大きいものもあれば小さい物もあり、収穫しにくいし市場にも売りにくい。一方、F1種のかぶは、かけあわせてちょうど良い大きさのかぶだけができるようになっているので、収穫しやすい。ただし、それは一代限りのもので、毎年、種屋さんから種を買うことになる。

 というわけで、F1種はその畑に適応するということはないのです。一方、固定種から毎年、種を取り続けていくと、年を追うごとにその畑にかなって実りが多くなる。無肥料栽培をはじめた当初は収穫が少なくってがっかりしても、やめないで自家採種をつづければ、強くおいしい作物が収穫できるようになる。

 それから、F1種(交配種)の中には、「雄性不稔」のもあります。雄性不稔というのは、花におしべができない作物です。というのは、2種類の作物を交配させるときに、1種類の作物のおしべを全部とる作業をします。それをして別の種類の作物のめしべをかけあわせるわけですが、おしべをとるのが大変なので、雄性不稔の作物は、最初からおしべができないように操作されているわけです。それだと簡単にかけあわせができる。

 しかし、それは生殖能力のない奇形です。そういう奇形をわざわざ作り出して、育て収穫するというのは、問題があるのでは?(ほんとうですね。こわいかんじがしました。)
 以上が、松浦さんの種のお話のアウトラインでした。

 ワイルドな味がする無肥料栽培の作物は、土づくりだけでなく種取りにも苦労があり、その苦労が実って、充実した野菜に成長するのだということが、今回、よくわかりました。よい種があれば、少ない肥料でも立派に育つ。一方、品種改良されたF1種は、農薬や肥料をたくさん投入することではじめて収穫できるようになっている。そういう作物なのです。

 そうそう、固定種を育てていくには、半径2キロメートル以内に同じ品種が栽培されていないことが条件だという話も出てきました。たとえば、小松菜を自家採種しようと試みていても、近くのF1の小松菜と交配してしまったら、固定種と言えなくなるのですよね。固定種を守っていくことは、実際には、わたしたちがわからないろんな苦労があるようですが、だからこそ、そこに喜びもあるのだということが、松浦さんの話から、伝わってきました。


固定種について  松浦 智紀(まつうら とものり)

 固定種について、少し書かせていただきます(少しと言うか、、ちゃんと書きます)。ちょっとややこしいので、お茶を飲みながらゆっくり読んでいただけたらと思います。

固定種と在来種につて
 在来種という言葉が多く飛び交っていますが、在来種の定義はありません。とても曖昧なものです。なので、業界的(種についてある程度勉強した人なら)には在来種と言う言葉はあまり使いません。

 千晶さんが言われました原種についてですが、原種の定義もあいまいなのであまり使いません。 やっぱり固定種っていいますね。固定種自体が在来種という感じになってきています。悲しいかな、、、。

固定種とF1(エフワン)(別名:雑種強勢or一代交配種)について
 千晶さんや郡さんも書いて頂きましたが補足と訂正も含めて。メンデルの法則を覚えていらっしゃいますか?中学生か高校生くらいの時に理科で習う法則です。よくエンドウ豆のしわあり、しわなしで話をされることが多いですが、分かりやすくまず人間の血液型で説明いたします。

 血液型にはO型 A型 AB型 B型がありますよね。通常二つの方で成り立っているので、これをきちんと分けると、OO型 AO型 AA型 AB型 BO型 BB型になります。Oは潜性(せんせい:劣性(れっせい)ともいいます)、AとBは顕性(けんせい:優性(ゆうせい)ともいいます)の性質をもちます。

 顕性の性質をもったものがある場合、潜性の性質は隠れてしまいます。ですのでOO型=O型 AO型=A型 AA型=A型 AB型=AB型 BO型=B型 BB型=B型となります。

 植物の場合で言うと、例えば(あくまで例えばです)トウモロコシで甘味の強いものが潜性 仮にaとします。甘味の弱いものが顕性 仮にAとします。形の大きいものが潜性 仮にbとします。形の小さいものが顕性 仮にBとします。

 現状、甘味は強いけど、小さいトウモロコシ(aaBB)甘味は弱いけど大きなトウモロコシしかないとします(AAbb)。甘味が強くて大きなトウモロコシがほしいですよね。そうするとこの2種類のトウモロコシをかけあわせます。すると100%の確立でAaBbの性質をもったトウモロコシの種ができます。これは甘味が強くて大きな品種です。

 そしてこのAaBbの性質をもったトウモロコシから種をとろうとすると、ばらばらになってしまいます。AABB AaBB AABb Aabb aaBB aaBb aabbです。甘味が強くて大きなもの、甘味が弱くて大きいもの、甘味が弱くて小さいもの、甘味が強くて小さいものが出来てしまいます。これだと出荷できませんよね〜。なので、毎年種屋さんから種を買わないといけません。

 今の説明では甘味と大きさで言いましたが、実際はもっと複雑で糖度はもちろん、大きさ、形、いろいろな病気に対しての耐病性、耐湿性、耐乾性、粘性、色、曲がり具合、耐肥性、保存性などなどなどなど、、それに、早生、中生、晩生もありますし、、考えただけで頭がこんがらがってきます。

固定種
 固定種は先ほどのトウモロコシで言うと、AABB aabb aabb AAbbにあたります。例えばAABBの種をまいたら、その子供もAABBですから品質が安定します(実際にはそうでもないんですけどね^^;)。ですので、安心して毎年種採りできます。

雄性不稔
 千晶さんが説明して下さった補足です。雄性不稔(人間で言うと無精子症)の遺伝は、母方(めしべ)のミトコンドリアに100%由来します。花粉を付けられるのはめしべ(母方)の方ですから、ここからは種はとれません。

 ただ、よその花粉が飛んできて受粉した場合には種ができます。が、その種は雄性不稔です。これが拡大していったらどうなるのでしょうね、、(特にビートは風媒花ですから、、)

 これを書くとちょっと怖くなりますが、現在日本で流通している(それがたとえ無農薬であっても)玉ねぎとビートはほぼ100%雄性不稔です。他に、ニンジン、トウモロコシ、キャベツ、大根、カブ、白菜などの雄性不稔が出来上がっており、普及しています。ただのF1であっても種はとれますが、上記にあげた作物のF1の多くは雄性不稔になっています。ですから種はとれません。買い続けるしかありません。

世界の種苗業界とバイテク(バイオテクノロジー)
 世界の種苗業界は寡占化が進んでいます。お隣の韓国では1社は日本の企業が買いましたが、その他は全てアメリカとドイツの種苗メーカーに買収されました。この企業は何をしているかと言うと、、バイテク企業なんです。遺伝子組換え農産物の企業です。ですから、買収されてしまった韓国の種苗メーカーが仮に遺伝子組換えの種しか販売しないことになったら、否応なしにその種で作物を作らなければならない状況に陥ります。ここで、農家さんが自家採種している種(失効している)を沢山持っていれば問題ないのですが、、現実は違うようです。

 日本はと言うと、サカタとタキイが大手です(世界の種苗業界から見ればほんとちっちゃいですが、、タキイはそのうち買収されてしまうかも知れませねん)。

 その日本でも、あまり知られていませんが、バイテクに雄性不稔をつけた技術は、継続して一般の畑で試験栽培されていて、日本の世論が遺伝子組換えに前向きになったときには一気にその種をだせる準備も整っています。準備をしているのではなく、整っているといわれています!

 以前ターミネーター種子と言うのが問題になりました。種を採って次の作付にその種をまくと芽は出るけど、途中で枯れてしまう遺伝子を組み込んだ作物です。倫理的に問題では?という世界の批判があり、研究がストップしたといわれていましたが、なんのことはなく、、今では特許までとられていて、技術は完成されているといわれます。

無肥料自然栽培と固定種自家採種
 無肥料自然栽培に自家採種は根本的に必要なことです。ホームセンターなどで売っている種の裏を見てください。小松菜でも大体アメリカ産、他の野菜もアメリカ、イギリス、ドイツなど、、 国産はほとんどありません。固定種であっても元のほとんどは海外生まれです。

 人間で考えてみても分かるのですが、両親はアメリカ人、そして子供はアメリカ育ち。そんな子供が日本に突然来て、なじむわけないですよね。それと同じような感覚です。

 でも最初はしょうがないです。年数をかけて(最低3年)自家採種していくと年々その地にあってきます。日本も広いですし、そうでなくても数100メートル離れるだけで土質が全然違ったりすることもありますからその地で自家採種をすることが大切で、続けると虫や病気が減少し、そして形や食味も変わってきます。

 種を蒔いてから作物を収穫するまでが一作ではなくて、種を蒔いてから種を採るまでが一作という感覚が過去にはありました。そしてその種(命)を毎年つなぎ、次の世代(子供)にこの命をつなぎ何世代も何世代も繋がってきたものです。そうすることで否応なしに、種(命)に対しての感覚も自然に変わってくるものでしょうし、作物に対しても同様になってきます。 作物に声をかけるとか、愛情を注ぐとか言いますが、それは声をかけなければならないものでもなく、愛情を注がなければならないのでもなくて自然と発露するものですから。

 種ってほんと不思議ですよ。自家採種で2km離れて。。というお話がありましたが、あれはアブラナ科に限ってのことなので、私の言い方が悪かったと思うのですが、ほうれん草はまた違います。アブラナ科と言うと、カブやキャベツ、小松菜、菜花、チンゲン菜などです。

 それと固定種(在来種)について一つ注意があります。固定種がなくなっていった理由にもいろいろあります。例えば、美味だが流通する関係上箱に入るサイズにならない事で廃れたもの・おいしくないもの・病気にあまりによわいもの・輸送性が悪いもの(割れやすい、果肉が崩れやすいなど)・形がそろわない・収穫が一度に出来ないなどなどなど。

 ですので固定種なら何でもよいというわけではありません。ちゃんと知識のある種屋さんに聞きながら、そして地元の方(特に年配の方)にも耳を傾けながら情報を得て選ぶことが大切です。

 過去には在来種ブームのような事がありましたが、種を供給する側に知識が薄く、おいしくない物がたくさん出回ったため農家の中でも敬遠する人が多くなったような気がします。

 私が最も尊敬する種屋さんは「野口種苗」(代表・野口勲さん)と言います。ホームページ http://noguchiseed.com/

 野口さんは30数年前まで漫画界の巨匠・手塚治虫さんのプロダクションで働いていました。 「火の鳥」という漫画をご存知ですか?手塚先生は漫画で「命の根源」を訴え続けた方です。その根本の漫画が「火の鳥」です。野口さんが編集長になったとき、一番初めにしたことは手塚先生に「火の鳥」をきちんと書くべきだ!と進言したことでした。手塚さんは「書きましょう」と答えられ、、野口さんが火の鳥の初代編集長となったのです!野口さんのHPには火の鳥がいます。

 手塚先生はいのちの根源を説いてきた、そして野口さんはいのちの根源である種を扱う仕事をしていることに自負と責任をもってやっています。野口さんは、ちょっととっつきにくい方ですが、とても親切な方です。固定種しか扱っていません。メチャクチャ頭が切れます。(今は62歳だったかな、、?)私大好きです。

 種を購入される方ぜひ問い合わせてみてください。ここのHPを見た方がより詳しく種について書いています。ねじり鉢巻きして(笑)ぜひご一読されることをお勧めします。

 そうそう大切なことを書いてませんでした。F1でも雄性不稔でも根本は命です。ただ単に否定することは簡単にできますが、それも命であるという事を忘れないで頂きたいのです。

 それと、例えば固定種の玉ねぎはほとんど手に入りません。それを嘆くよりも固定種に賛同し作ってくれる生産者を探して固定種を作った事がない方がほとんどなわけですからその栽培における生産リスク(収量)と販売のリスク(消費する側が生産物を全量買うということ)を真正面から受け入れて、小さい面積からでよいのですから生産する側と消費する側が双方リスクを分かち合いながら行くことが大切です。

 そうすることで、未来の子供達に雄性不稔や遺伝子組み換えでない作物を残していくことができるのですから。それを各地で地産地消できたらなおよいですよね。京都や大阪、東京で言う地産地消と私の住む畑がまだ残る埼玉ではその普及方法も違ってくると思いますが。

 そうして、何より、おいしい固定種は、ホントにホントにおいしいんです。昔の人はこんなにおいしい野菜を食べていたのか!ん〜 こんなおいしいものに出会ってこなかった今までの人生を嘆くくらいです(笑)

 おいしいという感覚は千差万別ですが、私は根本的なおいしさというものがあると思っています。何と言うか、ただ食べておいしい!と感じる以上のものです。おいしい幸せを感じながら未来の子供達により清浄な大地と永続可能な社会を伝えていけたら素敵ですよね!



ヘナで髪を染めるには 〈メーリングリスト100年計画〉より抜粋 
高島 千晶


 
 ヘナはインドや北アフリカなどで自生している低木で、インドの伝統医学アーユルベーダでも古くから使われてきた薬草です。 このヘナを使った白髪染めについて豆料理クラブ会員の方から質問をいただいたので、楽天堂がヘナを仕入れている「空」の川内たみさんにお答えしていただきました(以下、Aの「 」内がたみさんの解答です)。

【1】ヘナは気持ちがいい
 まず、使っている人はとってもヘナを気に入っておられます。気持ちがいいんだそうです。ある方は、市販の化学物質の白髪染めを使って体調を崩した(肝臓を悪くした)のだけれども、ヘナを使うようになって体調が回復したとのこと。頭皮から白髪染めを吸収することは危険なのですね。

A「頭皮は粘膜に次いで経皮毒を通しやすい部分なので、市販の化学的な染毛剤はできるだけ避けた方がいいと思います。身近にあって日常使いされている一番毒性が強いものが、白髪染めだそうです。日本人は黒髪なので、欧米では使用禁止の化学物質が配合されています」

 それは触ってみるとすぐわかるそうです。市販の白髪染めを使った後は髪がキシキシするんだそうですが、ヘナはトリートメント効果があるのでサラサラするんだそうです。

A「ヘナは髪にはとてもいいので、ヘナをすると、触るのがうれしいくらいサラサラ、つるつるになります。染まりもこのサラサラ感も、ヘナをやった直後より二日目以後の方がはっきりわかります。ヘナは髪染めよりも、このトリートメント効果の方がありがたいくらいです。」

【2】へナの匂いについて
 匂いが気になるという方もありました。
A「ヘナは確かに匂うので、気になる方もいます。草の匂いだからお茶みたいと気に入ってる人もいるし、気になる方もいます。特に湿気の多い時は匂いがこもってしまうというのもその通りらしいです。

 ヘナもお茶と同様、ピンキリです。古いお茶と新しいお茶の違いくらい、匂いも違うはず。匂いばっかりは、書いたり読んだりじゃわからないから。“酸っぱいようなにおい”というのは、ヘナとなにかの複合的な匂いだろうと思います。製品のヘナ+木藍は、ヘナの分量が少ないので、多分、あまりヘナくさくはないだろうと思うんですけどね。」

 ヘナにエッセンシャルオイルを混ぜ、匂いを緩和するやり方もあるそうです。
A「私はアロマにはあまり詳しくないので的確な助言はできないのですが、本で調べたらシャンプーに混ぜて使用する例が出ていました。全体量の1〜2%くらい混ぜるようです(精油の一滴は0.05ml、10mlに2滴で1%)。匂いのために加えるのだったら、それ以下、全体に数滴でいいんじゃないかしら。お手持ちのミントで試してみて下さい。

 髪に使ったら良い、効果がある精油は、パルマローザやラベンダー、ローズウッド、ローズマリーなど。子どもや妊産婦以外は、希釈したものであればどれでも大丈夫と思います(とはいえ、アレルギーや皮膚トラブルのあるかたは ヘナでもパッチテストして下さい)」

【3】ヘナは染まりにくい?
 髪の質によるようですが、市販のシャンプーを使っていることで染まりにくいということもあるようです。また、木藍入りのヘナ(ヘナはオレンジに染まりますが、木藍入りは黒っぽく染まります)の染まり具合について「木藍も(インディゴと同じものだと思うので)色落ちは早い、と考えて使った方がよいですよね」という質問を受けました。

A「染料に使われる植物は多いですが、ヘナは髪を簡単に染められる希有な植物です。藍も古くから植物性の木綿や麻、動物性の羊毛や絹を染める染料として使われていますが、染めるメカニズムが全く違うんですね。

 ヘナは、成分のラウソンが髪のタンパク質ケラチンと結びつくので髪を強化し色も変わるのですが、藍は、藍がついた布や髪が空気にふれて酸化することで発色します。

 ヘナが芯から染まっているのに比べ、藍は表面から色づいています。ですから、藍の色がだんだん落ちてくるというのは、その通りだろうと思います。ただ、毎回洗髪の度にタオルに藍の色が付くということは、あまり考えられません(少なくとも私はありません。どっちかというとヘナの色の方が洗髪を数回してもすすぎのお湯に残るということはあります。髪の色はちゃんと染まったままですが)。

 ヘナも髪質によっては、入りにくい人がいます。髪がいたんでタンパク質が足りない人は結びつくべきケラチンがないので色も付きにくいということです。

 藍も、髪の表面にシリコンなどがついている人はノリが悪くて色がくっつかず、落ちやすいかもしれません。

 市販の(合成界面活性剤の)シャンプーやリンスには、髪をサラサラさせるためにそういう化学物質が入っていることがあるので、もし、日常的にそういうシャンプーをお使いだとしたら そういう原因もあり得ます」

 シャンプーについては、たみさんはアレッポの石けんで下洗いし、その後ねんどのソープで髪を洗っているそうです。わたしも泡立ちがよくて気持ちがいいので、ねんどのソープを使っています。

 合成界面活性剤のシャンプーから石けんシャンプーにかえてトラブルが起こり髪が落ち着かないのは、最初の数ヶ月だそうです。今はねんどのリンスがあるので、それがなかったときよりもトラブルは少ないらしいです。 

【4】ヘナの簡単なやり方
A「私のような面倒くさがりやでも、ヘナはとても簡単だと思っています。ただ、時間がかかるのは事実。家事をしたり、テレビを見たりしながら上手に時間を使って下さい。

 ヘナ+木藍は、使う直前に溶かし、マヨネーズ状のものを手袋をした両手で頭にまんべんなくつけ、その後、乾かないようにキャップをつけて最高1時間おき(ヘナだけの場合はいくら長くてもかまいませんが)、お湯でよく洗い流します(シャンプーしてもいいですが、私は洗うだけにして、翌日のお風呂でシャンプーします)。
 ヘナや木藍は洗った後も数日間変化しています。4、5日たったら色が落ち着きます(直後より、濃くなります)」



麹遊び その 小紺 有花 (ここん ゆか)


 
 私はいつも砂糖の代わりにてん菜糖・メープルシロップ・甘酒・みりん等の穏やかで優しい甘味料を使い、時にはフルーツの甘みも活かしながら植物性の食材のみでお菓子を作っています。

 どの甘味料もそれぞれに個性的でお菓子の仕上がりの風味も違ってきます。色々と使い分けているうちに甘酒だけに他の甘味料と違う独自の不思議な特性がある事に気付きました。

 甘味料は食材に甘みを加えるものだから、混ぜれば何でも甘くなるのが普通です。でも、甘酒は合わせる食材によってはあまり甘くならない時があるのです。例えばあんこを作りたくて小豆に混ぜても、なかなか甘いあんこにはならない。クッキーに混ぜても甘いクッキーにはならないのです。良く良く味わってみるみると何となく甘いんだけれど、いわゆる「甘いお菓子」の甘さではありません。でも、果物と合わせるととてもはっきりとした甘さになる。

 そこで気付きました。甘酒は合わせる食材本来の甘みを引き出すのだと。小豆には小豆の、小麦粉には小麦粉の穀物としての自然な甘みがあります。それは甘味料から得られるくっきりとした甘さとは違う、噛みしめて初めてわかるじんわりとした甘さです。そういった微妙な甘さを甘酒は引き立てるのだろうと思いました。他の甘味料は食材に甘みを上乗せするので、食べた時もまず甘みが全面に出ます。でも、甘酒は合わせる素材のもつ様々な要素と絡み合って融合し、素材の特性に応じた味を生み出します。だから、穀物に合わせると穀物らしいにじみ出るような甘さになり、果物に合わせるとフルーティーな甘みが際立って来るのでしょう。そして更に甘酒の発酵食らしい個性が混ざり合って新しい味が生み出されるのです。甘酒は組み合わせる食材の種類や量に応じて味が変化し、実に様々な表情を見せてくれます。

 また、甘酒は料理に程よいコクやまろやかさを添える役目も果たしてくれます。植物性の食材だけでお菓子を作ると淡白になりがちですが、甘酒を加える事で味に厚みが出来て豊かな風味に仕上げる事が出来ます。

 今回ご紹介するレシピは「甘酒フルーツシェイク」「甘酒クッキー」「甘酒抹茶プリン」のお菓子三本立てです。甘酒の甘さだけを利用してシンプルな食材で作るので、この3つを食べ比べると甘酒の不思議な特性がとても良くわかると思います。どれも本当に心と身体に優しい穏やかな味です。穏やか過ぎて物たりないと感じる場合は甘酒の量を少し減らし、メープルシロップやてん菜糖等を少し加えてみて下さい。すると甘みにぐっとコクが出ますよ。

 知れば知るほど面白い甘酒の世界。実験感覚で是非色々お試し下さい。


甘酒抹茶ムース 甘酒抹茶ムース

〈甘酒フルーツシェイク・メロン味〉
(甘酒とフルーツとの相性は抜群!飲めば元気がわいてくるさわやかな味)
【材料】(約2人分)
賽の目に切ったメロン、甘酒、豆乳をミキサーに入れて良くかくはんする。コップに入れて氷を浮かべる。ストローを使うと飲みやすい。
様々なフルーツでアレンジ自在。甘みの濃いフルーツには少なめ、酸味が強いフルーツには少し多めに甘酒を入れると良い。

〈甘酒クッキー〉
(シンプルなのに豊かな風味。チーズのような香ばしさが病み付きになります)
【材料】
国産薄力粉 200g、甘酒(ペースト状にして) 80g、菜種油 60g、天日塩 小さじ1/2、ベーキングパウダー 小さじ1
【作り方】
1)地粉とベーキングパウダーを合わせてふるいにかける。
2)甘酒、菜種油、天日塩を混ぜ合わせておく。
3)@にAを加え、へらでさっくりと混ぜ合わせる(こねないように注意)。
4)だいたい混ざったら手でまとめて、ラップを敷いた台の上に乗せ、手で軽く平らにならし、その上にラップをかぶせる。
5)ラップの上から綿棒で生地を約3ミリの厚さに伸ばす。
6)好みの型に抜き、天板に並べ、160℃のオーブンで約18〜20分焼く。

*注*
1)全粒粉を約2割混ぜても良い(薄力粉160g、全粒粉40g)。
2)好みのナッツやハーブ・スパイス等でアレンジしても良い。
3)軽さを出す為にベーキングパウダーを使ったが、よりナチュラルにするために省いても良い。
4)甘酒が入っているとこげやすいので、低温でじっくり焼くのがサックリと香ばしく仕上げるコツ。

〈甘酒抹茶ムース小豆ソース添え〉
(抹茶のほろ苦さ、上品な甘み、ふわっとした食感が絶妙な大人の味)
【ムースの材料】(プリン型6〜8個分)
豆乳 400cc、粉寒天 小さじ1/2、上新粉 小さじ2、甘酒 200g、抹茶 小さじ2、天日塩 一つまみ
【プリンの作り方】
1)鍋に豆乳、粉寒天、上新粉を入れて良く混ぜ合わせ、中火にかける。絶えずかき混ぜながら温め、ふっとうしたら火をとめる。
2)ミキサーに甘酒、抹茶、@を入れて良くかくはんする。抹茶のだまがなくなり滑らかになるまで、長めにかくはんするのがコツ。
3)温かいうちに水で濡らしたプリン型に流し入れ、冷めたら冷蔵庫で良く冷やす。
【小豆ソースの材料と作り方】
小豆(ゆでて) 1カップ、豆乳 60cc、甘酒 60g、天日塩 一つまみをミキサーに入れ良くかくはんして滑らかなソースにする。プリンを型から出し、小豆ソースをかけていただく。

参考:甘酒フルーツシェイクと甘酒クッキーで用いる甘酒ですが、この『らくてん通信』第39号〈麹遊び その3〉でご紹介しています。お読みになれない方のために、ダイジェスト版を下記に掲載いたします。ご活用下さい。

〈甘酒の作り方〉
【材料】
ご飯 2カップ、水 2カップ、米麹 3カップ
【作り方】
1)ご飯と水を鍋に入れ、火にかけてふっとうしたら弱火にして5〜10分煮込みお粥を作る。
2)@が約60℃に冷めたら麹を混ぜて炊飯器に入れる。
3)炊飯器のふたを半開きにして布巾をかけ、保温モードで約12〜15時間放置する。途中一、二回かき混ぜる。
4)出来上がった甘酒をフードプロセッサーなどでかくはんし、クリーム状にする。ふた付きの容器に入れて冷蔵庫で保存する。
   
甘酒シェイク&甘酒クッキー 甘酒シェイク&甘酒クッキー



「リフォーム料理でひとやま当てて!」なんていわれても・・・その8
 
根石 佐恵子(ねいし さえこ)



 今回のテーマは、季節にあわせて、《山菜と梅》です。
 5月の連休に家族でお山に入り、道ばたには、三つ葉、いたどり、あざみ、うど、こごみ、こしあぶら・・・と美しくもおいしそうな山の幸が出迎えてくれました!食べられる分だけを心がけながらいただいて、その夜は、お浸しや天ぷらの緑色づくしの食卓を囲みました。そして、次の日にリフォームされたのは・・・

〈五月ごはん〉
 春の香りを放つ三つ葉のお浸し(だし醤油で味付けしたもの)が、一番人気でしたが、がさがさ食べてしまうのがもったいないので、残しておきました。それを細かく刻み、鰹節とともにごはんに混ぜ込むだけなのですが〜三つ葉と、初鰹(間違いなく今年のではありませんが・・・)で、五月という名前がぴったりだなぁ〜と思ったのです。いかがでしょう?ごまとかいろいろ混ぜたがる私ですが、やはりこの季節限定の香りを楽しむため、あえて我慢して、シンプルにしてみました。ぜひ五月に作ってみてね!

五月ご飯 五月ご飯

〈山菜茶漬け〉
 残った、山菜の天ぷらをざくざくときって、ごはんの上にのっけて、塩をぱらぱら・・・、おろしたしょうがをのせて、その上から好みのお茶をかけて、さらさらといただきます。塩だけが、さっぱりしていてよいです。お茶の代わりに薄いだしつゆをかけても、あっさり天丼のようで、おいしかったです。

〈漬け物〉
 これは、漬け床もリユーズなので、ご紹介したいのです。石川県七尾に、自称“世界一ちいさいお醤油蔵”を持つ、鳥居醤油店さんがあります。そこで、お醤油を絞った残りのモロミ糟にみりんを加えて、漬け床として分けて下さっているのです。「モロトモ漬物床」という名前で、袋に入っているので、手軽におつけものができます。そこで、うどなどはそのまま漬けたり、こごみや、こしあぶらなどは、ゆでて水気をきったものを、あく抜きしたわらびはガーゼやペーパータオルなどに包んで漬けると、あっという間に独特の味も食感も残したままのおつけものができました。味噌でもよいのですが、お醤油が高騰しているこの頃、モロミ糟の活用で、おしょうゆ味が楽しめるといいな〜と思っています。あと、ブロッコリーの茎とかもそのままスティック状に切って漬けるだけでっぽりぽりおいしいです。我が家ではオクラをそのまま漬けたのが一番人気です。

モロトモ漬けブロッコリー モロトモ漬けブロッコリー

 そして、6月の声を聞けば梅!母との食の思い出のひとつに出てくるのがこの梅です、この時期になると、青く透明の海苔の空き瓶に梅酒や梅干しを漬けるのですが、いろんなことをおしゃべりしながら、一つ一つへたをとり、ふきんで拭いて瓶に入れていく単純作業がなぜか心地よく、瓶に反響する「ポトン!」という音や、ざらめを注ぎ入れる音とともに、鮮明によみがえってしばし懐かしさに浸っています。

 さて、新しく漬ける時期になると去年の産物が残っている場合がありますよね。我が家では、お酒でなくはちみつと、リンゴ酢で漬けて夏の飲み物として大活躍し、梅のほうは、おやつとしてそのまま口にほうばります。しかし、「梅酒の梅はいらんから」とか、「らっきょう酢に漬けた残りやわ」と、なぜか、うちに残り物の梅が集まってきます。お酒味だったり、甘塩味だったり・・・そこで、いろんなたれのベースにすることにしました。その名も〈塩梅ソース〉。

 基本的には、実を刻んで、しょうがのすりおろしたもの、漬けてあった梅ハニー、塩、これだけを瓶に入れて軽くシェイク!!塩が溶けて味が落ち着いたらOK。これまた醤油を入れるのを我慢して、梅と塩で塩梅です!冷蔵庫に入れておいて、使うときにねぎとごま油を足せば中華風たれ、オリーブオイルにバジルや、ハーブを足せばイタリアンかなぁ〜と・・・

 今回は、豆腐にかけて〈中華風やっこ〉。ゆでたブロッコリーと卵にかけてイタリアっぽく仕上げてみました。また、いろんなバリエーションを楽しみたいです。

中華風やっこと塩梅ソース 中華風やっこと塩梅ソース

 そして、残った種と塩だけで、素焼きしてあった鰊を煮てみました。種の中までしみこんだ、酢、お酒、蜂蜜が浸みだし、さっぱりした、〈鰊の塩梅煮〉ができました。めちゃおいしかったです。

鰊の塩梅煮 鰊の塩梅煮

 デザートは、〈うめうめ〜ゼリー〉(ほんとは寒天)。実を5枚そいで、器の底にお花状に並べ、梅ハニー寒天液を静かに注いで冷やすだけ。これまた夏のデザートの定番ですが、飽きずに食べられます。

梅ゼリー 梅ゼリー

 母からもらった梅への想いを、娘に伝えていけたらなぁ〜と願いを込めつつ、今年もしばし、青梅と戯れたいと思っています。

[おまけ]
 初夏を迎えると毎週末高校山岳部顧問のおっとさんは生徒たちと白山に登るのですが、決まってお土産は白峰村名物の堅豆腐の醤油煮と、油揚げなのです。が、今回豆腐屋のおばちゃんに薦められて、大量のおからをもらってきました。「生のまま、ポテトサラダのように、きゅうりやハムを入れて、マヨネーズで和えればよい。」のだと・・・確かにあま〜い豆の香りがしっかりと残っています。「確かにすりつぶした豆を一度煮てから絞るんだから、火は通っているんだよね〜」と納得し、早速作業にとりかかりました。しかし、いくら塩、オリーブオイル、ゆず酢、マヨネーズを入れても味がのってこずぱさぱさ・・・、しかし、大量な調味料が投入され、やけにすっぱさだけが強調されて不評でした。

 そこで、気づきました!「そうだ、直接調味料を入れても吸い込まれていくだけで混ざらない。潤いが足りなかったのね〜!」と。そこで、ちょうどあった豆乳を注いでみたところ吸い込む、吸い込む〜!まるで、久しぶりに再会した母子のようにしっかとなじんでいるではありませんか!すごい!!

 そして、少しずつ塩を混ぜていくとだんだんにうまみが増すのが実感でき、ほんのちょっとの調味料で、前回とはうってかわってまろやかなサラダに!調度ブロッコリーとお弁当の残りの卵焼きを刻み込んで、〈菜の花畑に降った突然の雪サラダ〉ができました。

 さらに、わらしべリフォームで、そこにマサラを入れて、ぎょうざの皮で包んで揚げれば、一気に〈夏の菜の花畑〉のようなおつまみになりました。

 ちなみに、豆乳がなければ豆腐を混ぜ込むと、さながらおばあちゃんと孫の再会か!!(まさしく、ぱさぱさにつるんぷるんの組み合わせ・・・おっとこんなことを書いちゃいけない!ここはカットでお願いします。高島さん。)おからの三世代活用だぁ〜!!

 今回、おからは豆腐よりもデリケートな食材だと気づきました。よくもって2日!新鮮なうちに、母子の取り合わせか、ばあちゃんと孫のとりあわせで、“幸せのサラダ”を味わってみて下さい!おから恐るべし!!
餃子とおからサラダ 春餃子とおからサラダ



 大人になって出会った子どもの本 (3)
おおらかな海のまつり 宮島 百合(みやじま ゆり)



 魚、好きですか?
 折しも楽天堂・豆料理クラブでも昨年より新しく「海の幸コース」が始まり、魚介類と我々のつながりの深さを再認識しているところである。図鑑の絵を見ても、日本と海外では魚の描かれ方がずいぶん違うらしい。日本の図鑑の絵は、明らかに「うまそう」なのだそう。  

 ――前はとんとんあったんやと。
 ある、お月さんのきれいな晩のことや。
 あたごの浦に、波がざざーっと、よせてはかえし、よせてはかえし、砂浜は、明るいお月さんに照らされて、キラキラ、キラキラ、と光っりょったんやと。
 そしたらそこへ、おーけなおたこが、お月さんの光にうかれて、ゆらーり、ゆらーりと浮いてきて、砂浜へあがったんやと。

 この、ゆったりとした昔語りの語り口で始まる絵本、『あたごの浦 讃岐のおはなし』(脇和子・脇明子再話/大道あや画 福音館書店)。

 美しい月明かりの下、海から「おーけなおたこ」やら鯛やらかれいやらが浜に上がって、演芸会。歌ったり踊ったりの後、「とっときのかくし芸」を披露する。

 魚たちが感心してはやす、「妙々々々々々」のかけ声。これは、読みきかせをするとやみつきになる楽しさだ。「わたしも『あたごの浦』の演芸会に出た〜い!」と心に叫んでしまう。

 おはなしもいいけれど、この絵が最高だ。この本で、画をかいた大道あやに関心をもった私は、『へくそ花も花盛り 大道あや聞き書き一代記とその絵の世界』(福音館書店)も読んだ。そして圧倒された。戦前、戦中、戦後を生きぬいてきた――まさに「生きぬく」というのがふさわしい人生と、その生きざまをカラッと語ってしまうあやのたくましさ。この本にも、大道あやの絵がたくさん載っている(今は文庫版しか出ていないが、絵は単行本で見た方が大きくていい)。どの絵も、素朴な美しさと生命力にあふれていて、心を動かされる。

 大道あやさん、まだご存命なのだろうか?もしそうなら、1909年生まれだから今年99歳!兄は(あの)丸木位里。母、丸木スマも画を描いた。あやは60歳で描き始めたそうだ。 この本を読むと、兄の位里が5人も「嫁さん」をとりかえて、6人めが俊だった、なんて話が出てきてびっくりする。昔の嫁姑のバトル(!)もすごいが、ちゃんと商売して身を立てようとするあやのたくましさよ。そして、1945年8月6日、広島で被爆。このときのことは、別に1冊の絵本となって、あや本人の語りもCDになって付いている(『ヒロシマに原爆がおとされたとき』ポプラ社)。

 一番印象に残っているのは、夫と死別する場面だ。ケンカばかりしていた夫婦が、道で手をつないで家まで帰る。「わしゃ、あんたが好きじゃよ」と言った翌日の事故死。まるで映画か小説のようだ。
 あやの母のスマの絵、これもいい。74から始め81で亡くなるまで描いたその絵は、原爆の図丸木美術館(埼玉)にあるらしい。観に行きたい。

 あやは、「母の絵はええなあ、思いますよ」「母は心から楽しんで絵を描きなすったが、私は絵を描くのが好きじゃないんじゃから。今でも好きになれんの」「好きで描いた絵はおそらく1枚もないんじゃなかろうか」と言っている。が、どうだろう。たとえ「好きじゃない」で描いたのでも、この、月の浜辺の美しさ、魚たちの楽しさはどうだ。この絵本の中には、楽しさ、ほがらかさ、幸せな気持ちだけがあふれている。最後の、魚たちが海へ帰って行ったあとの、静かな浜辺の絵を見る度、私の胸は幸せな気持ちでいっぱいになる。

 『あたごの浦』、いいですよ。どうぞ、あなたも、魚たちの演芸会にそっと加わってみて下さい。

『あたごの浦 讃岐のおはなし』 『あたごの浦 讃岐のおはなし』



投稿 動けば、変わる 高野 潔樹(たかの きよき)



「たべたいねん青森、いらんねん再処理」
 5月25日大阪にて、「たべたいねん青森、いらんねん再処理」という集いが開かれました。京都、滋賀、奈良、和歌山、兵庫、大阪、関西一円の市民、消費者団体も実行委員に加わり、参加者も220名を超えました。

 『六ヶ所村通信 No4』の上映、青森と宮城でそれぞれ活動しているYAMさんとhokutoさんのトークライブ、生協の代表者二人を交えてのパネルディスカッション、音楽ライブなど三部構成の多彩な催しでした。

 核のゴミをどうするのか?核兵器拡散の懸念、高速増殖炉の完成も2050年以降と、どこからどうみても?だらけの六ヶ所再処理工場の本格稼働ですが、今回は誰もが当事者となれる食という切り口から再処理を考えるつどいとなり、まだ間に合う、何とかして止めよう!!という気持ちでみんながつながることができました。

11人で青森に行く
 5月27日にはつどいに参加した中から11人が青森県庁と農協中央会に行ってきました。鹿内・古村両県会議員の紹介で、エネルギー総合対策局の方四名と、農林水産部の方二名との席がもたれました。

 関西の市民の声を青森県知事に伝えるのが目的で、25日の集いで採択された決議文とつどいの参加者の思いがつづられたハガキを手渡し、席順に自己紹介をかねて、それぞれの思いを述べていきました。子育て中の母親も二名来られ、印刷業をされている方、翻訳をされている方、カフェを経営されている方など様々で、それぞれの生活地点から思いを伝えていきました。 5月25日京都新聞の一面トップに「六ヶ所再処理施設の直下に活断層がある可能性」の記事が載ったために、阪神大震災被災者としての発言をされた方もいました。

 自分は京都中央卸売市場鮮魚仲卸会社で働いていることもあり、日本の台所を支えてくれている所に放射能をたれ流すなんてとんでもない、と率直に述べました。また小二の頃に父を直腸ガンで亡くしていることもあり、そのような子どもが増えないようにして欲しいとも述べました。

 途中、泣きながら話す方もおられましたが、みながそれぞれの大切な思いを伝えていきました。エネルギー対策局の方は始終無表情で、国の安全基準に基づいているので、、、とのことでした。一方、農水部の方は、「立場上、はっきりとは申し上げられないが、みなさんの気持ちはよくわかります」とのことでした。

「ついにその時が来たか」
 その後、記者会見を経て農協中央会へ移動しました。副会長と農政連の方が対応してくれました。副会長が途中退席されると、かなりつっこんだ話になりました。

 「農業に関わっている方で再処理をよく思っている人などいないと思います。今日みなさんがおっしゃったことは、20年前から自分たちが国や県に言ってきたことで、いつか県外から自分たちが言われるようになるんですよ!とも言ってきました。ついにその時が来たか、、、という感じです。

 一生懸命反対してきて再処理を止められると思った時もあったが、結局変わらなかった。もう少し前に協力してくれていたら、、、今頃言われても責められているように思えてしまう、、、」とも。

 「自分たちはこれ以上何をやったらいいのだろう、、、いずれにしても生産者の地位の向上と政治が変わることが必要だ、、、」とおっしゃっていました。

青森の人に勇気を与えるものであってくれたら
 夜は六ヶ所村の「花とハーブの里」の菊川さんのゲストハウスに泊まり、翌日は標高500メートルくらいの山を登りました。太平洋、陸奥湾にはさまれ、ヒバ、ブナの森、広大な平野、三つの大きな沼を抱える大地を見ることができました。そして日本一の風力発電所の風車群(90基以上!)と再処理工場という皮肉なミスマッチも、、、。

 縄文前期の1万2千年前から栄えた所といわれ、本来、狩猟採集漁労には最適の豊かな土地だったのでしょう。また寒冷地で農薬に頼りすぎなくてもいけるという面もあり、脱再処理のためにも一大有機農産地にできれば!との動きもあるようです。

 6月8日には青森や全国から2000人が集まったイベント・パレードも行われたそうです。その日の東奥日報には、「たべたいねん青森、いらんねん再処理」実行委員企画の意見広告が掲載されました。「もったいない青森!!ともに反対しよう」と呼びかけるものでした。これが青森や東北の人に勇気を与えるものであってくれたら、と願います。

動きやすい自分たちが動こう
 地元では、反対の声をあげようものなら露骨に圧力がかかってきたり、土木建築関係の場合は仕事がなくなってしまうこともあるそうです。そのような状況や、農政連の方の話を考えると、動きやすい自分たちが動いて、彼らの後押しをしたり風穴を開けていくしかないのではないか?と思います。

 このような一連の動きから感じられることは、「NO」「反対」ということも決してネガティブなものではなく、同じ世界に生きる仲間に対して「共に変わっていこう」という意思表示であること、そして再処理がなくても成り立つ世界を創っていこう!!という覚悟のある「反対」であるということです。

 今までは世界を動かしているのはマネーゲームの仕掛け人であったり、一部の政治家であるという認識しか持てなかったかもしれませんが、これからは市民ひとりひとりが自分たちの望む世界を思い描き、自分の言葉で、ハートで、行動し、表現する時が来たのではないでしょうか。

 声を小さくしているのも無力にしているのも自分たち自身だったかもしれません。「おかしいな?まいいか」という暗黙の容認が、社会全体の雰囲気を作り上げてきたのかもしれません。未来の仲間たちにどのような形でバトンを渡すのか?ということは今ここにいる私たちの選択のひとつひとつにかかっているのだと思います。


[HOME] [らくてん通信 INDEX]