第4号:1998/06/10


リレーエッセイ共生(2)

へんなこっておもしろいよ(山口市・中司郁子)


 
 息子和毅が2歳になった時、自閉症と診断された。自閉症というのは心因性のものだと誤解されている人は多いと思うが決してそうではない。先天的な脳の損傷等により、言語や認知機能などに特異な障害をもつ、原因不明の発達障害で、知的障害を伴うものが圧倒的に多いし、おまけに今の科学では一生背負っていかなければならぬというシロモノなのだ。例えば、人は普通、相手の表情を見て、その心を慮れるが、彼らはそれが大の苦手で、人の怒っている顔を見てケタケタ笑い出すなんてことは日常茶飯事。

 そんな彼も、今年の秋で5歳。今まで実にいろいろなことがあったが今とても清々しい気持ちで彼に向き合えるのは、シンプルに「この子が愛おしい」と思えるから。理屈の通じない世界、いわゆる親の期待(いい学校等)から無縁なところにいるからこそ、彼そのものを純粋に見つめられる。エイリアンのような(ごめんね!)彼と一緒にふとんに入り、そのぬくもりを感じるだけで、彼が生きていることが、愛おしくてたまらない。

 そんな彼と共に見る世界は結構面白い。
 4月から通い始めた保育所でのこと。元気はいいが、人とのやりとりに無関心で、超個性派の彼に、周りの子は戸惑っている様子だったが、ある日、集めた人形の服をせっせと脱がせて遊んでいた(?)彼を見て、ユミちゃんが「はい、かっくん。」(これも脱がせていいよ)と、もう一体人形を持ってきてくれたのだ。この、傍らから見ると意味のない行動を認めてくれたユミちゃん。私は嬉しかった。こんな小さいところからも異文化を受け入れる優しさは育ってくるのだ。
 この小さな繰り返しが、やがてはくる彼の将来を明るく照らしてくれる。いろんな困難を覚悟しつつ、今私が彼とその周りを巻き込みながら夢見ているのは、そんなふうな共生のあり方なのです。 



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